概要
OBDシステムは今日、北米とヨーロッパ一部のアジアで販売される大部分の車に搭載されています。70年代と1980年代初期の間に、メーカーはエンジン制御機能をモニターしてエンジン故障を診断する方法を検討し始めました。これは、主としてにEPA排出基準を満たすことを目的としていました。
年々オンボード診断システムは洗練され、OBD-II(90年代中頃に導入された新しい標準)は、ほぼ完全にエンジン制御情報をモニターできるようになり、さらにシャシー、ボディーとアクセサリー(車の診断制御ネットワークと同様に)もモニターできるようになっています。
トラブルコードはSAEJ2012で規定されており頭文字のアルファベット(P,B,C,U)と4桁か5桁の数字の組み合わせのコードであらわされます。
例
P0301 --- 1番シリンダー点火不良
P0301
頭文字のアルファベットの意味
P:パワートレイン(エンジンかトランスミッション)
B:ボディー
C:シャーシー
U:ネットワークコネクション(CANに関係)
P0301
次の一桁数字
0:SAEで規定する一般的なフォルトコード
1:メーカーで規定する固有のフォルトコード
P0301
次の一桁数字
1:空気、燃料に関係するもの
2:燃料に関係するもの(インジェクションなど)
3:イグニッションシステムや点火不良に関係するもの
4:補器類に関係するもの(EGR、AIR、CAT、EVAPなど)
5:車速、アイドリング、補器類入力に関係するもの
6:コンピューターシステムに関係するもの(PCM、CANなど)
P0301
次の2桁数字
OBD-Ⅰで規定された数字(OBD-Ⅰは2桁)
歴史的背景
ロサンゼルスで光化学スモッグ問題を対策するためにカリフォルニア州は、1966台のモデル車でエミッションコントロールシステムを検討し始めました。連邦政府は、1968年に全国的にこれらの規制を延長し、議会は1970年に大気清浄法の立法とともに、環境保護局(EPA)を設置しました。これは、長期的な見通しのもと一連の段階的な排出基準と車両の整備の必要条件を示したものでした。
これらの基準を満たすために、各自動車メーカーは電子制御燃料供給と点火システムを改良することを余儀なくされました。かなり初期の段階においてエンジン性能を常にモニターするために様々な車載センサーが搭載されし、最小限に汚染物質の排出にとどめるためにシステムを改善しました。
最初は、統一された標準がなかったために各々のメーカーは自身のシステムと信号を作成しましたが、1988年には、自動車技術者協会(SAE)が標準的なコネクタプラグと診断テスト用のプロトコルを決定しました。
環境保護庁は、SAEオンボードの診断プログラムと推奨を奨励しました。
OBD-IIは、SAEによって開発されて、1996年1月1日から実施された環境保護庁とCARB(カリフォルニアAir Resources委員会)によって採用された標準を展開したものです。
環境保護庁は車とトラックから「自動車大気汚染」を減らすための責任を負って、ますます厳しい排出基準を満たす車を製造することをメーカーに要求する権限を与えられました。メーカーは、車両が長く使用され続けるためには車の排出基準をさらにクリアできなければならなくなりました。OBD-IIは、車が一般の公開された標準として機能しているため、汎用の検査診断方法を用いることができるようになっています。
実際のところはまだまだ、この標準と方法論に関しての議論がある一方、我々は都市部において車両からの大気汚染レベルを減らす必要があり、我々はこれらの必要条件をうけいれなければなりません。
OBD-II搭載車
1996年1月1日からOBD-IIシステムを搭載する車が多くなりました。 メーカーは、1994年の早い時期にOBD-IIをいろいろなモデルに取り入れ始めました。初期のいくつかのOBD-II搭載車は、完全に標準を満たしたものではありませんでしたし、また特定の製造とモデルだけの搭載から始められました。
OBD-IIには3 つの基本的なプロトコルがあります。それぞれオンボード診断用コンピュータとスキャナコンソールの間の通信パターンと若干のバリエーションが各々にあります。いくつかのメーカーは数年の間にいくつかのプロトコルに収束していますが、クライスラーと全てのヨーロッパメーカー、多くのアジアメーカーがISO9141のプロトコルを適用しています。GMはSAE J1850 VPWを適用しました。また、フォードはSAE J1850 PWM適用しました。
また、2005年頃から各メーカーは統一規格のCANに以降しつつあります。
CANは従来のプロトコルに比べて伝送スピードが飛躍的に速くなっており1MpsのスピードでISOの約100倍です。
コネクターからの見分け方
どのプロトコルなのかコネクタソケットを調べることによって見分けることができます。ダッシュコネクタが #2や#10ピンが無く、#7ピンを備えているならば、その車はISO 9141プロトコルです。ピンが#7に存在しないならば、その車はSAEプロトコルです。

Pin 2 - J1850 Bus+
Pin 4 - Chassis Ground
Pin 5 - Signal Ground
Pin 6 - CAN High (J-2284)
Pin 7 - ISO 9141-2 K Line
Pin 10 - J1850 Bus
Pin 14 - CAN Low (J-2284)
Pin 15 - ISO 9141-2 L Line
Pin 16 - Battery Power
3つのOBD-IIプロトコルがある一方で、コマンドはSAE J1979標準に規定されています。
OBD-Ⅱの出力を測定
OBD-II以前の車は、ダッシュボードの下やフードの下など様々な位置にコネクタを備えていました。現在の全てのOBD-II搭載車は、運転席からアクセスしやすいパッセンジャーコンパートメントにコネクタを備えています。ダッシュボードの下や灰皿の近辺をチェックすると見つかるはずです。
ケーブルはOBD-II J1962コネクタにつないで、インターフェースに接続します。AutomiltechのMLS002は、PC/ラップトップまたはパームPDA版で利用できます。数十万円もかかる専用機の機能を網羅しています。
OBD-II出力を測定するメリット
OBD-IIの信号はダッシュボード内に”MIL”あるいは”エンジンチェックライト”という形で車のトラブルその履歴を示します。
OBD-IIによって提供されるデータは故障した特定の部品を正確に知ることができます。そのことにより、推測で取り替えた修理と比較すると相当な時間と原価を節約します。OBD-II信号をスキャンすることで、中古車を購入する際にその状態を知ることもできます。
エンジンチェックランプ
修理業界においてはは、エンジンチャックランプを「MIL」またマルファンクションインジケーターライトと呼びます。それは、3種類の異なる信号を示します。点滅点灯なら一時的な故障を示します。問題がより重大なら常時点灯します。
常時点灯しているMILは、車両の出力や安全走行に影響を及ぼしますので、エンジンをすぐに停止しなければ、損害を与えることがありえる重大な問題の徴候です。
また、全てのケースにおいて、エラーが出た時点でのセンサー読み取りの「フリーズフレーム」は、車両のコンピュータ内に記録されます。
深刻な問題を示しているMILは、修理されてMILがリセットされるまで点灯し続けます。
断続的なトラブルは少しの時間MILが点灯します。その多くは問題が確認される前に消えていることが多いと思います。故障の時点に車のコンピュータで自動車の状態をキャプチャーしたフリーズフレームデータは、これらの断続的な問題を後から診断する際に非常に重要です。
しかしながら、場合により車が問題の再発なしで3回の運転サイクルを完了するとフリーズフレームデータは消えてしまいます。
ちなみにフリーズフレームデータは以下の情報が含まれます。
トラブルコードナンバー
燃料システムがクローズループなのかオープンループなのか
エンジン回転数
車両スピード
冷却水温度
計算負荷値
ショートターム燃調バンク1
ロングターム燃調バンク1
ショートターム燃調バンク2
ロングターム燃調バンク2
燃圧
インテークマニホールド絶対圧
OBD-IIと自動車メンテナンス
多くのの修理工場はスキャナーやOBD-IIシステム信号読み取って問題を診断するために必要な器材の(高額な)投資が必要でした。
そのため、一般ユーザーのDYIでの修理や小さなショップ様においては、器材のコストと技術的な複雑さでOBDD-IIシステム信号の解析を制限されてきました。
現在は、より経済的で操作しやすいスキャナーの導入で誰でも手軽にOBD-II信号にアクセスして修理のために活用できるようになっています。
スキャナは、ソフトウェアの複雑さで大きく使い勝手が異なります。簡単につながって、迅速かつ自動的にOBD-II情報を呼び出せるソフトウェアが優れたソフトウェアといえるでしょう。
スキャナは車を運転している作業者の気を散らすことなく、試運転の間データが集められることができるように、レコーディング能力がなければなりません。一般にハンディータイプのスキャナーにこの機能はなく、対してラップトップまたはデスクトップコンピュータにつながっているシステムは、リアルタイムでの表示はもちろんデータのエックスポートやメモリをスプレッドシートやグラフで示すことができます。
メーカー専用コード
環境保護庁のOBD- II標準には当てはまらない、メーカーが独自に決定している専用診断コードの読み出しもOBD- IIコネクタにもよって読まれます。
これらのサービスコードは、ノックセンサー作動、FIパルス幅、点火電圧、個々のシリンダー不発、トランスミッションシフトポイントとABSブレーキの状態などのようなものを示します。
これらは車両メーカーとモデルにより300以上のコードが適用されています。車両メーカーが決めた独自のコードによるため同じコードでもメーカーにより内容が異なります。
スキャナは、機種やソフトウェア次第で読むことができるこれらの信号の数が大きく異なります。
多くの価格の安いハンディースキャナーの多くは基本的なOBDまたはOBD II信号しか読むことができません。
OBD-IIとパフォーマンスチューニング
ほとんどのドライバーが安全で、経済的な運転以外を望まない一方で、チューンナップメーカーはOBD-II利用の可能性に注力しています。
以前のオンボードのコンピュータシステムは、さらなる出力向上のためにエンジンパラメータを調節するためにチップを交換しなければなりませんでしたが、チップ置き換えができなくなる一方でOBD -IIシステムがチューナーにとって有用であるリアルタイムデータ簡単に収集することを可能としました。
チューナップメーカーは、より車のパフォーマンスを向上するために、OBD-IIシステムのパフォーマンスパラメータを再プログラムすることができます。
現在、このような書き換え可能なモデルは限られますが、適用される車種は増えています。今後、OBD-Ⅱを利用したチューナップ方法が開発されていくことでしょう。
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